寒くて暑いイリノイ州の日々

アメリカに来てから30年。老親の為に日米間を行ったり来たり。

差別とか、差別された気分とか

かなりヘビーなタイトルだ。

アメリカで30年も暮らしていれば、もちろん差別をされた事はある。それは私の見かけだったり、拙い英語のせいだったり。一度、東海岸のケンタの店内で罵られて、泣きながらチキンを食べた事もある。何故か東洋人『女』の私だけがターゲット。お店の人も庇うでもなく、「もういいじゃない」と言ったくらい。あれから数十年、今はすっかり溶け込んでしまった為か、アメリカ生まれの日本人、要するにアメリカ人と思われている様で、昔程は差別されなくなった。差別は良くない。でも、気が付かないうちに差別をしている事もあるかも知れない。

 

今から十数年前、夫と子供と、日本に我が両親に会いに行った時のこと。

場所は割と大きい横浜方面の実家の最寄り駅。そこからバスに乗って帰る途中。

写真が趣味の夫は、駅前の駐輪場の写真を熱心に撮っていたので、子供一緒に親に電話を掛けに公衆電話に行った。まだ幼い子供に、「今から電話するから、ちょっと待っててね」と英語で諭していた時、凄い威力のある声が「何よあんた!」と隣から聞こえて来た。「え?」と思って隣を見ると、その声は私に向けられたもの。ぶつかっちゃったのかな、と思って瞬間に「すみません」と言ったと思う。(すぐ謝る日本人の癖が出た)すると、どうやら、その年配の女性のお怒りは私が英語を話していたからご立腹の様子。「日本人なら日本語話しなさいよ!!」とブンブンと説教を始めた。呆気に取られて何も言い返さない私と、怖くてフリーズしてしまった私たちの前に、写真を撮り終えた夫が走って来た。全く状況が見えていない能天気な夫は「この国の自転車は凄い!自転車の駐輪場なんて見たこと無い」と興奮しながら英語で捲し立てること数分。気がつくと、その女性はいなかった。

兄弟にこの話をしたところ、その女性の心境を想像してくれた。

「最近、日本語より英語を子供に教える親が増えてるというニュースが多い。日本を蔑ろにする行為で腹立たしい。たまたま電話をしに行ったら、英語を話す母親(私)が隣にいた。英語を教える前に日本語を教えるのが筋だと説教していたら、思いっ切り外国人の夫らしき人が来てペラペラ何か言っている。あぁ、国際結婚で日本語を話さない人たちなんだ!ここは帰ってしまおう」という感じ。

本人に聞いた訳では無いのであくまでも想像。これは「向こうに勝手に想像して勝手に怒られて、私はちょっとムッとした」ケースである。「貴方は英語より日本語で話し掛けてあげたほうが良いと思うわよ」と言ってくれてたら良かったのに、と今でも思う。

 

次のケースは、東京ネズミ国に向かう途中。

「急行」の電車が来たので3人で飛び乗った。その電車がネズミ国駅に停まるか分からなかったので、車内の地図を見ようと思ったが混雑していてそれも難しい。そこで隣に立っていた若い男性に「すみません〜、この電車はネズミ国で停まりますか?」と聞いたところ、びっくりした顔で「わかりません」と。「そうですか、(それなら仕方ない。)有難うございます」と。「まぁ、何とかなるよね」と夫と言いつつ乗っていると、ネズミ国で停車。

「停まってよかったねー」と下車しながら気が付いたのは、その「分からない」と言った彼も下車。私の周りにいて私の質問を聞いていた多数の人も下車!! みんな知っていたのに教えてくれなかったの!?あれは割とショックでしたね。

私が面倒臭い人なのかも知れません。でも、こういう経験って忘れないんですよ。